《MUMEI》 . 教室… いない 保健室… いない 昇降口… 靴は…ある… 何処だ…? 「…便所か?」 独り言をぶつぶつしながら、俺は最初に体育館のトイレのドアに手を掛ける。 「佑二〜……いねえな」 そう分かったのは、普通の便器の方にいなくて個室の方も全て空いていたから 俺は溜め息を吐いてドアノブを離した そしてもう一つ、俺らがよく使う教室に近い方に行ってみることにしたんだ。 --------------------------------- 「ん?」 俺はトイレの前に落ちてたあるモノに気がついて、一歩手前で足を止めた。 …でも、便所の前のマットに落ちてるモノになんて触れたくないから それは見なかった事にして、トイレのドアノブに手を掛けた そこで聞いたのは……… --------------------------------- そのあとの事はうっすらとしか覚えてないけど 《佑二はもう、俺なんか見ていないんだ》 そう思った。 今まで感じた事のない絶望感に襲われ、俺は無意識のうちに扉にかかってた南京錠を、どうにかして開けて 屋上に立っていた 「なんだよそれ…てか、俺はなんで………」 なんでこんなに、苦しいんだ? ワスレテシマエ。 頭の片隅で、何かが囁く アンナヤツ、モウマモラナクテイイ。 アイツハ、恩を仇で返したんだから… その声は、いつの間にか秀一の声に変わっていた。 「お前に…何が分かる…ッ!」 俺は頭を抱えた。と、同時に あることを、思い出した。 それが事実だとしたら… 「佑二が…危ない…?!」 確証は無い。だから俺はそれを掴むために 俺は囁きを振り払って屋上を、学校を、後にした 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |