《MUMEI》
愛してくれた人
高い山を私は登る

覚醒してない私だったら辛くてあきらめていただろう

ここが頂上…?

こんなにキレイなのね……

「あら……早いのね♪」

その声を聞き、私は後ろを振り替える

聖子の背景には月

「そろそろ……いいかしら?」

そう言いながら剣を取りだし戦闘体制になる

「良いわ……」

私も言いながら戦闘体制に入る

そして二人同時に走りだし競り合いが始まる

なん…で……

「この顔どぉ?」

私はその場から離れた

その顔を見てしまうと涙が出てしまう

「恵子……」

「お母さんとは呼ばないの?」

「お母さんじゃないもの!!」

そうよ!!

私にはお母さんなんていない!!

「でも殺せる?」

私を見て笑いながら言う

正直にいうと殺せないと思う

だってお母さんだから

たとえお母さんじゃなくても一緒に過ごしてきた家族だから

でも仕方ないよね?

これがお母さんとの約束だもん…

ニコッ

私は微笑み聖子に話し出す

「…私は約束したから!!あの時の恵子と約束したから!!たとえ演技だとしても……約束したのには変わらないから……」

「じゃー 私をお母さんを殺すの?」

私はこくりと頷く

「聖子!!あなただってそのつもりだったのでしょう?」

「…そうよ!!ここがあなたの墓場にするために!!」

そう言いながら恵子の顔のままは私に向かってくる

その顔を見てしまうと約束を破ってしまいそうで……

約束……だから

そう心で唱える

走ってくる恵子を見てみると顔は私を殺すことでいっぱいなのに気づく

私は剣に血を流し準備する

そして私は恵子の腹に突き刺す

「どお…し…て?」

聖子は私の頬をさわりながら、微笑みながら言う

「演技してたんだけど……ホントに小夜のこと……大好きになって…た…みたい……」

その顔は

鈴音でもあり

恵子でもあり

広子でもあった

そんな聖子を見て私は涙が出てしまった

「…あと私の約束…はぁはぁ…守っ…てくれて――…」

ポトッ

私をさわっていた手は地面に落ちてしまった

いや 聖子は固まってしまった

最後の方は声が出なかったのか口パクだった

でもちゃんと私は受け取ったよ

「お母さん――…」

今、スゴく寂しいの

今、スゴくお母さんに会いたいの

今、スゴくお母さんに抱き締めてもらいたいの

私――…

最後にみんなに会えて嬉しかった

聖子――…

あなたはいつも私を助けてくれてありがとう

私はあなたを覚えてる

だったあなたは私のお母さんだから

あなたは私を最初に愛してくれた人です

私は月を見る

この日を私は忘れない


『――ありがとう』

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