《MUMEI》
現像できた写真
洋平の家に着くと、昨夜のメンバーが揃っているらしく、女物の靴が三人分と、井上の物であろう大人っぽい、かっこいい革靴が綺麗に並べてあった。


「こんにちは〜」

「あら、いらっしゃい。」

玄関先で挨拶をしたら、優しそうなおばさんが出迎えてくれた。


「司なら自分の部屋にいるわよ。二階だから、どうぞ上がって頂戴。」

「お邪魔します。」


なるべく印象を良く見せようと、礼儀正しい男子高校生を演じつつ、言われた通り二階へ上がっていった。






「よう!」


部屋に入ると、やはり昨夜のメンバーが揃っており、しかし司が来ても適当な挨拶がチラホラ返ってくるだけで、皆の意識はテーブルに集中していた。


「何見てんの?」


どうやらテーブルの上に置いてある何かを見ているらしく、気になった司は、上からその囲いの中心を覗いてみた。すると、そこには一枚の写真が置かれていた。


「出たんだよ!!」

「え?何が?」


興奮気味の洋平が突然、何の前触れもなく言うものだから、司はキョトンとした表情で尋ねた。


すると今度は、洋平とは正反対で落ち着き払った井上が、その二枚の写真を司に突き出して、


「幽霊が出たんだよ。」


僅かに口元を歪ませながらそう言った。

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