《MUMEI》
道連れもはじまり―3
しかしそんな態度をとる少女に、臆するどころかさらに意地悪い言葉が毛布越しに降ってきた。
「太るよ」
「そんな食べてない!!」
「クリームのお菓子食べてたし」
「も〜〜〜!!」
埃がたつのもかまわず、リンは悔しさや恥ずかしさにまかせばしばしと毛布を叩く。
それから唇をかみしめて青年を睨みつけたけれど、青年は荷物を置くため背を向けていてなんの意味もなさなかった。
部屋の隅にある小さな円形のテーブルは本当に小さくてあっというまに荷物で埋まってしまったらしく、置ききれなかったものは椅子に乗せられていた。
”散歩のついでに買い出しもしてくるから”
そう言って青年は昼食のあと早々にリンと別れた。町に来ると必ず散策をするのは今さらのことだが、買い出しもするつもりなら一時間やそこらで帰ってはこないだろう、
と思いこんでいたリンには完全に寝耳に水だった。

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