《MUMEI》

「楽しくやってますかね?」



クロの車を追うヤマトたち。



「さ〜。案外喧嘩してたりしてな。」



後部座席から理紗が顔を出しヤマトたちに話し掛けていた。



「恭介さん…それ酔わないんですか?」



「ん……?ん〜……平気。」



恭介は助手席でビデオカメラの映像を見ていた。



「こいつは酒さえ入ってなきゃ車でゲームもできるし本も読むよ。」



「うわぁ凄いですね…」



「ん〜...」



恭介は2人の会話を話半分程度に聞いていた。



「それ…聖龍か?」



運転席のヤマトが尋ねる。



「ん〜。」



「クロも言ってたけど、
やっぱなんやかんやで聖龍に付け入る隙を見つけんのは難易だよなぁ。」



「うぅ…でも…勝って欲しいです…」



「そりゃ俺たちだって一緒だよ。」



「はぁ…」



「よし次。」



「はやッ!!もう一試合見終わったのかよッ!!」



「ん〜にゃ、早送り。」



「は…早送りでわかるんですか?」



「試合全部を見ようとは思ってないから。


どうせ俺が攻撃見て気付くことなんてクロが気付くだろうし。


俺が見てんのはディフェンス。


つか…キーパーだけ。」



「んで?収穫は?」



「ん…ないこともない。」



「大した情報でもなさそうだな。」



「というか…むしろテンション下がっかも。」



「何でですかッ!?」



「要約すると相手が上手いということがわかったって話だから。」



「だ…ダメじゃないですかぁ…」



「たはは…」



ヤマトが車を停める。



「まず…難しい話は後だな。」



バタンッ!!



車を降りる3人。



「ちょっとぉ曲がってるよヤマトくん。」



先に到着していたクロと美紀。


美紀がヤマトの駐車に文句を付けていた。



「うっせ。」



「これだから初心者は…」



「ぬ゙…」

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