《MUMEI》

………………………………



決勝前夜。


赤高の選手たちもそれぞれの思惑を胸にそれぞれの時間を過ごしていた。


とはいえ、


今日の激戦を終えた彼らの疲労は大きく、


その大半が明日の準備を終えると深い眠りについてしまった。


深夜0時。


未だ眠りに着くことなく起きていたのは、


明日の試合の結果の勝敗に関係なく高校での部活を続けることが約束されている2人だった。



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………………………………



     椎名宅



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〜♪



(…誰だよこんな夜中に。)



暗闇の中椎名を呼び出す携帯電話。



【From:久司】



(…また珍しい奴から。)



「メール?誰から?」



「うわっ、お前まだ起きてたの?」



「テヘヘ…何か寝れなくて…」



昨日、椎名宅に止まった千秋。


置いていた荷物を取りに立ち寄るだけのつもりだったが、


帰宅時刻が遅かったこともありそのまま宿泊することに。



「久司から。」



「久司?久司って確か海南の…」



「そ。その久司。」



「なんだって?」



「待って。今読むから。」

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