《MUMEI》

暗闇の中、声が聞こえる。

「天羽(あもう)」

「はい、ここに」

天羽と呼ばれた者は片膝を床に着け返事をする。

「来客のようだな」

「はい、時刻通りですね」

「うむ、では手筈通りに…」

「失せ物は見付かりますでしょうか?」

「…解らぬ、がコレに縋るしか道はないのだ」

「はい」

天羽と呼ばれた者はでは、と光り差す方へ歩み姿を消した。

暗闇に残った者は、「さて、と…」と意味ありげに呟いた。

そして、静寂を取り戻した暗闇は沈黙した。

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