《MUMEI》
人間A
私の飼い主、人間Aは女性である。髪なるものが腰の辺りまであり、不細工な私とは全くの正反対である。
私を引き取る前日、人間Aは今までお付き合いしていた男に、別れを告げられた。最初に述べた通り、人間Aは独りぼっちが寂しく、それに堪えられず、死を考えたという。全くどうしてそんな考えに発展するのか、犬である私には分からない。人間の諸事情っていうやつは、思ったよりややこしいみたいである。
人間Aの友人が、独りが寂しいのなら動物でも飼ってみればと促すと、彼女はすぐに行動した。極端な性格なのかしら、と私は思った。
ちなみに私は雄である。
それはさておき、ペットショップにも寄らず、人間Aは保健所にやって来た。幸せそうな彼等を見るのが辛かったらしい。私は入ってきた人間Aと、一番最初に目があった動物である。捕まった私は不細工ねと言われ、彼女に引き取られた。

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