《MUMEI》
追憶 雨の日の記憶
ある日の夜。
救急車の音が鳴り響いていた。
とても不気味な音が町に鳴り渡った。
僕は救急車の音を聞くとあの日を思い出す。
それは、台風が近づいている日だった。

僕は、傘を差して歩いていた。
あの時の僕は、確か7歳ぐらいだったかな?
僕は赤信号の交差点で止まっていた。
その時だった。僕に悲劇が襲いかかったのは。
僕が立っていたところに車が突っ込んできたのだ。
僕は轢かれたのだ。
その後のことは覚えていない。
ただ目を覚ましたときは、病室のベッドの上だった。
周りには、涙目の母、父、兄がいた。
「僕、どうなったの?お母さん。」
「廉君はちょっと事故にあっただけよ。」
「事故ってなぁに?」
「そ・・・・それは・・・・。」
あのときの僕は自分の置かれた状況を
全く理解していなかった。
ただ一言。
「みんな、何で泣いてるの?」
それしか、周りの様子が掴めていなかった。

・・・・。何で僕今頃こんな事を思い出しているんだ?

次の日。
僕の教室の前に人がたくさん集まっている。
しかも女子ばかりだ。そこには柚子と仲の良い
白鐘夕菜(しろがねゆうな)の姿も見えた。
「ねぇ、聞いた?柚子のこと。」

「え!?」
僕は、彼女たちの会話に耳を傾けた。

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