《MUMEI》

ソレは、三原の腕
いつの間にか起きたのか、僅かに困った表情を浮かべながら安堂の身体をその腕に抱いていた
「さ、倖君!!お、起きて……!?」
「まぁ、横であれだけデカい声で話されればな」
実際にデカ買ったのは妹の声だけだったが、と苦笑を浮かべて見る三原
文句の一つでも言ってやろうと前を見据え、だがその姿はすでに無かった
文句の吐け口を見失い、三原は深い溜息をつくとまた寝の体勢へ
「あの……。さ、倖君?」
「何?」
「わ、私、重くないですか?」
「全然」
「寝にくく、ないですか?」
「へーき。じゃ、お休み」
それだけを行って、また寝に入ってしまった
三原のその腕にしっかりと抱き込まれ、身動きが取れない安堂
何をする事もできず、仕方無く全身から力を抜く
「少し、だから」
甘えて見てもいいかもしれない、と
穏やかな寝息を立て寝入る三原を眺めながら
安堂もまた、寝に入ったのだった……

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