《MUMEI》
桜散る…
 時は平成。
月は4月の終わり……。
「おはよー」
「あっ、おはよー」
 女子高生の声が聞こえる……。
そうか、もう、朝なのか……。
 pcから目を離し、置き時計に目をやる。
「八時少し過ぎ……、そろそろやめるか」
 彼はpcでやっていたゲームを閉じる。
閉じたゲームは“東方project”という名のSTGだ。
このゲームは彼の生き甲斐でもあった。
 彼、いや桜丹輝は部屋を出てキッチンに向かう。
夜から何も食していない。
そこまでゲームに入り浸っていた。
 丹輝は一人暮らしである。
丹輝には家族は居る。
しかし、家族はみな都心に住んでいる。
丹輝は一人別荘であるこの家に住まわされている。
 理由? それはおよそ三ヶ月前の事だった……。
    ×    ×    

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