《MUMEI》

「本当は写真きらいなんだけど、南になら撮られて嫌な気分にならなかったよ。校内にも綺麗な場所って沢山あるんだな。」


「あの時間帯は階段に差し込む光が和やかなんだ。」


「へぇー、見たい……」

わくわくする。


「現像したら見せるよ。上手く出来たてら大会に出させて。」


「勿論!」

芸術の一部になるなら快く引き受けよう。南の両手をがっちり握りしめる。




     ガラ




な、七生だ。無表情で扉を開けてこっちに入ってきた。襟首を掴み、廊下へと引きずられる。痛い痛い!


「ぐはっ……」

強く引っ張るからむせてしまった。吐きそう。襟を離され、首をさする。


「あ……、苦しかった?」

我に返ったかの如く七生は俺の肩、腕、頬、とべたべた触り始めた。


「…………分かってるなら、聞くんじゃねぇ!」

グーで頬を殴ってやる。

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