《MUMEI》

「マジかよ…。プリン食いたいとかいうんじゃなかったよ…」

ドラゴンの閉じていたまぶたが開いた。やっべ、目が合ったよ。喰われそうだ。

グルルルル…

今すぐにでも喰われそうな感じがする。

「逃げても怖いしな…やるか」

道端に自転車を停め、ドラゴンに向き直って構える。素手で。

気配を感じたのだろうか、何故かドラゴンは急に息を吸い始めた。

吸えば、当然吐く。吐かなくても何かしら出す事には変わりない。それがドラゴンなら、何が出るかは言わずもがなだ。

大きな口から、火球が飛び出してきた。

彼は素早く前に踏み出しかわす。

「あっぶねぇ…」

続いて鋭い爪の生えた手が迫ってきた。

バックステップで回避。近くにあった電柱がバラバラになっていた。

わりと隙が無い。やはり知能も高いらしい。

「コイツぁ一仕事だぜ…」

早くプリン買おう。

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