《MUMEI》
BOY
私、忘れられないんだぁ。

そんなメールを相談がある、と俺だけに送る君。
そんなん、知ってるよ、わかってる。
お前見てりゃあ、分かりたくなくてもわかんだよ。
いつも、いつも側にいるから。
誰よりもお前のことを分かってしまうから。

全部、全部、分かるよ。

本当は忘れたいこと。
でも、やっぱ好きって気づいたこと。
だけど、前みたいには接せないお前。
頑張りたい、伝えたい、やり直したい、って思ったから、
俺に打ち明けてきたんだろ??




でも、おれはもう前の俺とは違う。

ライバルの味方なんて、偽善者なんかにはなんねぇ。
もう、こりごりだ。俺を通して気持ちを伝えようとされるなんて。
お前の俺が知らない顔を、嬉しそうに話していた先輩。

もう、そんなのは聞きたくねぇ。
たとえまだあの2人の気持ちが繋がっていたとしても・・・
そんなの、俺がうそでもなんでもついて、壊してやる・・・



ごめんな、

 もう、ダメぢゃね??


なんて、嘘ついて・・・
俺、サイテーだ。幸せそうなお前を見るのは結構、俺も幸せだったのに。

でも、もぅムリなんだよ・・・
俺のがお前のこと守ってやれるよ?

お前だけでいいんだ。俺だって、お前じゃなきゃダメなんだよ・・・

だから、だから、
そんなこと、送っちまった。

好きだ!お前が好きなんだよ。

  まってよっ、

って笑うお前が可愛くて。

無理してるのがバレバレな笑顔も、全部全部、かわいくて、守ってやらなきゃって思うんだ。
俺の一番近くでいつも笑うお前が、愛しいんだ。

でも、誰よりお前のこと分かってしまうから・・・
このことも、知ってるよ。


俺は‘恋人’にはなれない
一番近くて、一番遠い ‘親友’だってこと。

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