《MUMEI》
駄目
  〜江上視点〜


私、最初に

西村くん(優斗)と話した時に

自分にびっくりしたの。

あの出来事があってから

男の子と上手に

話せなくなったから。

でも、西村くんとは

普通に話せたの。

何でかな?

それにね、西村くんの隣に居ると安心できるの。

会って間もない人なのに・・・・・

一緒に居ると

離れがたくなっちゃうの。

どうしてだろう?

今まで、あの出来事のこと

他の人には

話せなかったのに。

西村くんには

話せたの。



でもね、西村くんのこと

好きになったら

駄目なんだ・・・・・

だって、大切な人を

また傷つけることになってしまうから。

それをね、

実穂(折田)に言われたの。

「次また、あの子を傷つけたら、許さないから!」って。

そしたら、自然と涙が流れてた。

理由はね・・・

実穂に酷いこと言われたからじゃなくて








西村くんのこと

好きになったら駄目って分かったから・・・・・

私が、西村くんを

好きって気付いたのは

その時だった。

しばらく何も考えれなくて

教室で泣いてたら

西村くんが

教室に入ってきたから

慌てて飛び出しちゃったの。

走ってて、鞄持ってきてないことに

気付いたから

仕方なく、暇つぶしをするために

屋上で風に当たってた。

その時

私は心の中で

[好きになったら駄目

好きになったら駄目・・・

好きに

・・・なったら駄目]って繰り返してた。

でも、そう思う度に

胸が押しつぶされそうになって

"好き"って気持ちは

積もっていくだけだった。

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