《MUMEI》
世界戦争 15ー10
「ふひゃkゔぃけんjgがvっkkkkkkk」
「なんだ」
ジョン・リーの周辺の建物が砂のように消えていく。『暴走』という言葉が浮かんだ。
「あの野郎、能力が制御できなくなってやがる」
先早は手のおかげでまだ消えることはない。
しかし、先早の手にはリミットがある。
それまでに、暴走を止めなければならない。
だから先早はジョン・リーに近づく。
その周りにシールドのようなものがあるが、そんなものは先早の手が触れれば消え失せる。
が、問題はその後だ。
そのなかにはいればおそらく、手以外の部分は全て消えるだろう。
しかし迷っている暇はない。
このままでは地球そのものが消えてしまうのだ。 
(行くしかない・ ・ ・か)
先早はシールドに触れ、その中に入るがジョン・リーとの距離はまだあり、内部は暴風が吹き荒れ、巻き込まれそうになる。
「ぐっ、力が強い・・・」
手の効果が全くもってない。
暴風を無風にしようとするが効果がない。
ただの風ではないことだけが理解できる。
「どうするすりゃぁいい!?一瞬でも分解するのを防げれば!!」
しかし、原子・元素に量子を止める術はない。
そう考えている間にも、侵入者である先早を消すため、量子によって炎や電撃が飛んでくる。
先早にそれを避けるだけの余裕は既に無かった。
一発分の力しか余裕が無かった。
「くっ・・・」
その時、周辺の全ての動きが止まった。

「?」
沈黙の中に、ジョン・リーの声が響く。
「俺を殺ってくれ・・・」
「ジョン・リー?」
「ぐっ、もう暴走は止められない。中国の超能力開発は完璧ではないんだよ。能力を一定以上使用すると副作用が生じて暴走起こす・ ・ ・ ・ 。
能力が強くなればなるほど、暴走を止めるのは難しくなる。つまり殺すしかないんだ。ヴァァァァーーー」
再び暴風や電撃が先早に向かっていく。だがそれは先早には効いていない。 
「わかった。楽にしてやるよ。だから少しおとなしくしてなっ!!」
突風の如く速さで先早の体は一直線にジョン・リーへ向かう。暴風や電撃は先早に当たった瞬間消えていった。

そしてジョン・リーのもとへたどり着くと言った。
「助けてやる・ ・ ・ 」
ジョン・リーの頭に先早は手をかざす。
「そのかわりその能力は貰うぞ」
まばゆい光がジョン・リーの頭から先早の手に吸い込まれるようにして消えていくと二人の体はいつの間にかゆっくりと地面についていた。

先早はその後、ジョン・リーを安全そうな場所に寝かせ、惟たちのいるソウルへと向かった。


先早がソウルへ向かっている頃、洞窟を見つけた金慈達一行はその中で休憩をしていた。

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