《MUMEI》
好きなのに・・・
なぜ?


「小夜……」

なんでだろう…

春斗がかっこよく見える。これって気のせいなのかな?

私たちはずっと見つめあっていた。そんなところを影で笑いをこらえてる女がいた。

「…お待たせぇ・あれぇ〜?二人ともどーしたの?フフフ…」

フフフ…!?

なんかチョー怖い!!!!

私は我に戻っていた。

もも もしかして愛実、さっき場面見たのかな?もしそうなら最悪!!!!

「…愛実…今の見たの?もし見たならあれはちっ違いからね!!かか勘違いしないでね!!」

私は慌てて誤解を解こうとした。

「バッチリだからぁ〜・ほらっ写真まで」

愛実は私にケータイを向け、証拠の写真を私に見せた。それは私と春斗が見つめあっている写真だった。

「あっ…」

私、こんな顔をして春斗を見てたなんて考えられない。こんなやつ大嫌いなのに……なんでこんな幸せそうな顔をしてんの?

「小夜……?」

もしかしてこの気持ちが……

嫌よ!!私はダメなの!!恋をしてしまってはダメ…

「小夜帰ろー♪春斗先輩バイバーイ♪」

愛実?

「おう…」

なんで泣きそうな顔をしてんの?そんな目で私を見ないで…気持ちが溢れだしそう……

私は愛実に引かれ、恐怖のゲームセンターを出た。


「小夜!!好きなんだよね!?春斗先輩のこと!!」

歩きながら愛実は言った。

「……」

私は何も答えなかった。この気持ちの正体が何かわからない。世で言う“恋”なのかもしれないけど私は恋などしてはいけないもの。

「小夜…おなか空いたでしょ?マクドナルド行こ?」

ニコッ

やさしい笑顔……

「うん…」


私たち二人はハンバーガーを1つずつ頼んだ。そして席に着き、愛実は話始める。

「もう一度聞くけど春斗先輩が好きなんでしょ?」

『そんなの嫌いよ!!』って言いたかったけど言えなかった。私は自分の気持ちがわからないのだ。

「…お願い!!素直に答えて!!」

私の素直な気持ち?

そんなのわかんないよ……

そう思うがやはり心は素直だ。私の心は素直な気持ちを口にした。

「…好き……」

今、私はなんて言ったの?

「やっぱりね♪私の目に狂いはないからねっ♪」

神様――…

私のこの気持ちは“恋”なのですか?

これが私の素直な気持ちなのですか?

『…恋なんてしたらダメよ♪小夜姉様ぁ〜』

未来!?

どこにいる!?

私は辺りを見渡した。やはりどこにも未来の姿は見えなかった。

「どーしたの? 私!!小夜のこと応援するから!!」

「私は恋なんてしてない!!したらいけないの!!」

ハァハァ

言ってしまった――…

「っ……ごめん!!」

私はこの場から早く逃げたくて私は走り出した。

好きなのに言えない。もし、両想いでも私は人間じゃないもの。怪物なのよ…

好きよ………

人間になりたい。そしたら春斗……あなたのそばにずっといれる。私は走りながら泣いた。ずっとずっと走り続けた。


どうして私は不幸なのだろう。

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