《MUMEI》
見せたくないもの
陽菜は不安そうに僕を見つめたまま、黙っている。

「…言えないの?」

僕は陽菜の口から、ちゃんと聞きたかったんだ…。
三上たちが言ってたことは単なる噂で、陽菜が売春なんかする筈ないけど…でも、僕の脳内から汚い中年オヤジに犯されて、快楽に溺れる陽菜の姿がチラつくから…。


それに、陽菜が言ってたあの言葉……




『やめてよ…、あたしを美化しないで。処女なんてとっくに捨ててるし、セックスなんかに抵抗ない』




本当に単なる噂…?





「陽菜の初めての相手って…誰?」

「……そんなの…言いたくない…」

まだ何もしてないのに、陽菜は僕に怯えていたのに、陽菜の涙を溜めた瞳は僕に強い抵抗を、見せている。

「どうして?」

「……どうしても」

「言わないと痛いことされちゃうよ?って言われたら?」

陽菜が堰を切ったように、顔をくちゃくちゃにして、子供みたいに泣き出した。

「どうして?あたし、眞季の言うこと聞いたのに…っ、いっぱい…頑張ったのに…」

陽菜のこの表情を見ると、急激に股間が熱くなる。

「ずっと、奴隷でいい…っ、あたし、眞季の奴隷でいいからぁ、眞季以外の人と仲良くしないから…」

陽菜の気がおかしくなるくらい、犯したい。
もっと陽菜を、追い詰めたい。

「それは当たり前だよ、奴隷誓約書…忘れたの?」

陽菜は訴えるような目をしながら、首を振った。

「言えない理由はなに?」

陽菜が鼻をすすりながら、目を伏せた。


今の状態で、こんなに抵抗する理由は…?
真鍋が相手だから…?



それとも…──





「オジサンが相手だったから?」

僕が言うと、陽菜は丸くした目で、僕を見た。

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