《MUMEI》 後日、彼から鍵を受け取り、マンションへ足を運ぶ。 「何かありましたか。」 日系人のようで、短髪大柄な青年達がこちらの様子をうかがっている。 「いえ……特には」 青年の一人には、瞼の上に青瘤が残っている。 扉からは腐臭がしてきた。 私はじっと彼らを見る、何か諦めたように中に入って来た。 「ウチの猫だ。」 青年達はその塊を一瞥し、財布や歯を拾っていた。 部屋中散乱していて、抵抗した跡がある。 「おい、死体は……」 死体なんて言うものだから、何かと思ったが、ふと白い首筋が頭を過ぎってしまう。 彼だ。 彼は昨日、死体だった。 前へ |次へ |
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