《MUMEI》
恋と冷たさ
「・・・・。なぁ、祐介・・・・。」
「なんだ??」
「僕、柚子になんて声をかければいいと思う??」
「そう・・・・だなぁ・・・・?」
「お前、本当に柚子ちゃん好き?」
「え!?どういうこと・・・??」
僕は祐介の言葉に驚きを隠せない。
「あ・・・いやぁ・・・・。
 それは・・・・・・。
 ・・・・まぁ・・・・・・。な?」
「ほら、はっきり言えないじゃん。」
祐介は何が言いたいんだろう・・・・?
祐介のまっすぐな視線で僕は身動きが取れない。
少し茶色がかったきれいな瞳が僕を見つめている。
僕がやっとの思いで吐いた言葉。
「どうしてそんなこと聞くの??」
すると祐介はただ一言。
「いや、何となく・・・・。」
「そう・・・・。」
そして最後にもう一言。
「まぁ、“大丈夫?”とでも
 言っとけばいいんじゃない??」
「・・・・ありがとう・・・・。」

僕は家に帰って祐介のあの言葉について考えていた。
     “本当に好き?”
ってどういうこと??
祐介、お前は何が言いたいんだ??

なんて考えていたら僕は寝ていたんだっけ・・・・?

次の日も僕は柚子のお見舞いに行った。
“だいぶ落ち着いてきた”なんて言われている。
僕には昨日と変わらないように見えるんだけど・・・。
予定では、明日にはもう集中治療室を出れるそうだ。
まぁ、とりあえずひと安心だな・・・・。
僕は胸をなでおろした。
「まぁ、これでお前も安心だろ??」
祐介にも言われた。
「まぁな・・・。ひとまずな!!」

その帰り道。
僕たちはアクエリアスを買い、飲みながら帰った。
なんだか、“少し冷たすぎるかも・・・・”
なんて僕は思った。

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