《MUMEI》

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チロリロリリ〜ンッ♪チラリララ〜ッ♪



「いらっしゃいませ〜。」



(えと…朝飯と…昼飯と…飲み物も…買ってた方いいな。


県武にも自販機あるけど昨日の帰りほとんど売り切れてたし。


2本…いや3本くらい…)



朝方のコンビニ。
そこには買い物に立ち寄る村木の姿があった。



(朝は…パンでいいか…


昼は…試合前だし米がいいな。


今日の気温と置いとく時間考えると…梅干しが無難かなぁ。)



「…の。」



(飲み物はスポーツドリンクと…おにぎりにはお茶が無難。)



「あ、あのッ!!」



ビクッ…!!



店内に大きな声が響き沈黙が流れる。


放送から流れる音楽は場にそぐわずなんとも間抜けに聞こえた。



「…俺?」



村木は呼ばれたのが自分だということを認識する。



「…はい。」



目の前に立つ女の子は村木よりも小柄で上はTシャツに下はジャージとコンビニファッション。


確実に1つ言えることは、



(………誰?)



知らない顔。
ということくらいだった。



「あの…は、ハンド部の村木先輩ですよね?」



先輩…かどうかは村木にはわからなかったが、


話の内容的に目の前のこの娘は赤高の生徒で少なくとも自分よりは学年が下の子なのだということを村木は悟った。



「そう…だけど…?」



「昨日の試合見てましたッ!!
今日も応援行くんで頑張ってくださいッ!!」



「あぁ、うん。…ど、どうも。」



「選手の皆さんはもう集合の時間なんですか?」



「いや…」



(そういうわけでもないけど…)



「あたしたちはまだ集合時間じゃないんですけど決勝には間に合うように出発するはずなんでッ!!」



「あ、あぁ…」



(聞いてね〜けど…)



「が、頑張ってくださいッ!!」



(それは聞いた…けど…)



「…ん。」



(悪い気…はしないもんだな。)



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