《MUMEI》

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   赤城北高校
    体育館



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ガラッ…



体育館のドアを開ける千秋。


中からは話し声以外にも、


ボールの音と靴の擦れる音が聞こえていた。



「おざ…っす。」



椎名と千秋の目に飛び込んだのは、


ジャージ姿で早くも汗を流しているチームメイトたちの姿。



「おはよう。早いな。」



「先生…早いなっ…て、
先生こそこんなに早い時間にいるなんておかしいっすよ。」



待っていたのは選手だけではなく、


顧問安本も同様だった。



「何となく…皆早く来るような気がしてな。


俺も早く来たんだが…


それでも何人か待たせた。」



「…皆やる気満々ってわけだ。」



安本が集合時間よりもかなり早めに到着していたことも椎名たちには予想外だったが、


それ以上に予想外だったのは、



「あっ、おざっす!!椎名さん千秋さん!!」



昨日クロにおそらく出番はないであろうと告げられた1年生たちがこの時間に来ていたことである。



「お前ら…なんで?」



「なんでって…だってじっとしてられないじゃないっすか。」



「…お前らに出番はないって、クロさんの話聞いてなかったのか?」



「そりゃそうかもしれないですけど、


でも、
絶対ってわけじゃないだろうし、


それに…
試合に出れないにしても、じっとしてらんないのは変わんないっす。」



「…わっかんなくもね〜けど。」



クールに装う椎名だが、
言葉とは裏腹に表情は笑っていた。

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