《MUMEI》

(勝ってる部分がないわけじゃない。)



バタンッ!!



「……着いたけど?」



「………悪い。もうちょい。」



「………ヤマはぁ?」



「………」



「…無視かい。」



(やれやれ…まぁしゃあないか。)



クロは1人車を降り体育館へと向かう。



(勝ってる部分がないわけじゃない。


けど、


劣ってる部分があまりにも多すぎる…)



久々だった。


ここまで不安を感じることは。


これまで敗北を経験したことは幾度となくあった。


だが、


それは今日負けない為の価値ある敗北。


今日負ければ、


これまでの敗北も、


これまでの勝利も、


全てが意味のない物へと変わる。


恐かった。


クロは初めて。


負けることに恐怖を覚えていた。



ガラッ…



クロは体育館のドアを開ける。

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