《MUMEI》
その病気ください。
どうせわたしなんて、綾斗と反対の性格だから・・・。

しょうがないんだよね。

どうせ わたしなんて・・・

「おまえは こわいんか?」

え・・・そりゃそうでしょ。

「そうだよな。誰だって怖いときはある。でもみんな前向きに生きているんだ。

そうやって自分を責めたりしてるとほんとにこわくなって生きることから逃げようとすることになるんだ。」

え・・・。

「じっさいにオレがそうだったからな。」

そういえば綾斗は今年の夏転校してきた。

前の学校でなんかあったのかな・・・。

「おれにはおまえのかんがえがすべてわからないこともない。

きっとオレと似てるとこもあったんじゃないかなとか思うこともある。

だから 相談 よかったらおれでもいいぜ?」

綾斗・・・。なんでいつもそうやって私をはげましてくれるんだろう。

どうせ死んじゃうのに。

「実はな、オレも病気なんだ。」

え、はじめてきいたんだけど・・・。

「心臓病。医師にも先刻くらっちまったよ。」

余命・・・?

そんなものほんとうにあったんだ。

そんなんで綾斗しんじゃダメでしょ。

「おれはもう死ぬことが決まっている。ならお前にはまだ生きることがすこしでもある。

それを大事にしてくれ。」

・・・。その心臓病ってやつ・・・ください。

私がそれになれば綾斗はたすかる。

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