《MUMEI》 陽菜のせい吉田のソレを咥え込むと、佐伯たちが笑う。 なにが面白いのか、わからない。 男同士でこんなことしてるの見たって、気持ち悪いだけじゃないか…。 サンドバッグにされてる間は、陽菜のことを考えて耐えていられた僕だけど、流石にこの状況だけは、自分を誤魔化すことができなくて、辛かった。 卒業するまでの間…。 卒業すれば、全て終わる。 僕と陽菜の仲を、引き裂こうとする奴らは消える…。 佐伯のイジメに吉田が加わってから、僕は何度そう自分に言い聞かせたかわからない。 あの何度も繰り返された拷問のような行為を、陽菜は見てたんだ…。 「僕も陽菜みたいに性の玩具にされてたから陽菜の気持ちを理解できると思ったの?」 僕が聞くと陽菜は黙ったまま、唇を噛んだ。 「で?理解してもらえなかったから今度は、それをネタに脅そうって?」 黙ったままだけど、陽菜が動揺しているのは、明らかだった。 「僕が誰の為にあんなことに耐えたと思ってるの?」 陽菜が僕を見た。 「僕がああしてなかったら、陽菜がされてたんだよ?」 「…な…に……それ……」 「陽菜のせいだよ…陽菜のせいで僕はあんなことしてたんだよ?陽菜にやらされたんだ」 陽菜が意味がわからないと言ったふうに、首を振った。 「理解できない?なら…」 僕が言い掛けたとこで、保健室のドアが開く音がした。 「じゃあ陽菜またあとでね、ちゃんとゆっくり休むんだよ?」 仕方なく僕は、陽菜にそう言ってから、保険医に挨拶をして保健室を出た。 前へ |次へ |
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