《MUMEI》
接触
 
 
──早くしないと陽菜が犯されちゃうよ



あんな過去を思い出したからか、僕の頭を佐伯の言葉がグルグル回って、授業どころじゃなかった。



──あたしも、眞季と一緒で、 ずっと虐められてきた…

──あたしは…っ、犬だったから…、汚い人たちに開発されてきたから…

──ずっと、奴隷でいい…っ





僕は陽菜を守る意味が、あったんだろうか…。






──あたし、眞季の奴隷でいいからぁ、眞季以外の人と仲良くしないから…





すぐに僕を裏切る陽菜なのに…。
すぐ嘘を吐く陽菜なのに…。









──あいつをオマエの見てる前で犯してやるよ






陽菜は……

僕以外の男に犯されたら、どうなるんだろう…。








…──放課後、保健室に行くと陽菜の姿は消えていた。

陽菜のクラスメイトに聞くと、陽菜が先に帰ったと知らされた。



僕は走った。
途中で佐野さんに、呼び止められたけど、無視した。


通学路に陽菜の姿は見当たらず、家まで行ったけど帰った気配もなく、僕は学校に戻って体育館に行った。


真鍋の姿が無かったら、陽菜は僕を裏切って、真鍋といる。
そう思った。




体育館の中をキョロキョロしていると、爽やかぶった男が走って近付いて来た。


コイツの姿を見て嬉しくなることなんて、これが最初で最後だろう。

「陽菜ちゃんの友達だよね?」

「…はい」

「どう?陽菜ちゃん具合良くなった?」

真鍋が心配そうに言った。

「え…?先輩、陽菜に会ってないんですか?」

「うん…心配だったけど、今部活も忙しい時期で会いに行けなくてさ…」

おまえが陽菜に会いに行く資格なんて、ねぇよ…。

「そうなんですか…、陽菜保健室で休んでたのに急にいなくなっちゃって…」

僕は心配した感じで言ってから、

「先輩なんかしました?」

と冗談ぽく言ってみた。

「えっ?…いや……」

真鍋は笑ってたけど、明らかに動揺していた。

「まぁ、いいですけどね。もしかしたら先輩に連絡入るかも知れないから番号とか交換しませんか?」

僕の提案に真鍋はすんなり応じて、僕は真鍋の番号とアドレスを手に入れた。

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