《MUMEI》
再会
 
 
『真鍋です。
いきなりメールしてごめん。

ちょっと陽菜ちゃんが心配で…
大した面識もないのに、こんなこと話すのおかしいけど…
聞いてもらってもいーかな?』

陽菜の家の方まで歩いていると、真鍋からメールが入った。

『どうしたんですか?私でよかったらなんでも話してください(*´ー`*)』

女の子っぽいメールが、どんな感じかわからなかったけど、なるべく女の子っぽく返信した。

『ありがとう。
陽菜ちゃんとは付き合い長いの?
見ててそんな感じだったから…
違ったらごめん』

真鍋の低姿勢なメールに、陽菜は気を許したのかと思うと、怒りを通り越して笑えてきた。

『長いですよヾ(´▽`*)
友達っていうより家族みたいなもんです♪』

陽菜の言葉を引用して、返信してみた。

『そーなんだ!
じゃあ陽菜ちゃんのことはなんでも知ってんね(笑)

で、本題なんだけどさ…
陽菜ちゃんて他に彼氏いるの?』

真鍋の“俺も彼氏だけどさ”みたいな言い方に、腹が立つ。

『う〜ん…
本当は内緒なんですけど(-_-;)
陽菜を助けると思って相談も兼ねて先輩に話してもいいですか(・・?)』

『助けるって陽菜ちゃん困ってるの?』

返信の速さから、真鍋が本気で心配しているのがわかって、余計に腹が立った。

『はい(>_<)
でもメールじゃなくて直接話したいから先輩の都合のいい日教えてください』

『わかった。
じゃあ今度の日曜日でも大丈夫かな?』

「はい、大丈夫ですよ…と」

真鍋にそう返信して携帯を閉じ、顔を上げた瞬間、僕の心臓がドクンッと脈打った。

「戸村じゃん」

ニヤニヤと笑いながら、僕に近付いて来た男は、今日僕が思い出していた最も会いたくない男、佐伯だった。

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