《MUMEI》
生き別れ
7月17日 午前10:20頃
「(はぁ〜暑い。暑くてめんどくさいが気を紛らわす為にゲームの主人公にでもなった気分で自己紹介でもしておこう。俺は形尭 聖{かたのり しょう}、今年高校生になったばかりの男だ。)ふー暑い。」
聖が暑さに'ぐた〜'っとしていると後ろの席の小さい頃から親友の褝波 夏希(たんば なつき)が小声で話かけてきた。
「もうすぐ夏休みだな。」
「ああ。」
「ん?お前、耳にイヤホン(ワイヤレスなのでコード不要。)つけてねーか?」
「あ、ばれた?お前の親父が作ったこのアルティメット。マジですげえな。」
そう言って聖は腕時計をちらつかせる。
この腕時計は普通の腕時計ではない。形は四角で液晶パネルがついている。聖のは金色、夏希のは銀色の特殊金属で縁取られていて、とても頑丈だ。
そして、なんと言っても、機能がすごい。
ラジオ・ミュージック、テレビ電話、メール・インターネット。LEDライト・ソーラーバッテリーやテレビ視聴、・地図・カメラまでもが使える。それにワイヤレスイヤホンとも接続できる。
だからアルティメットなのだ。
「それ、まだ試供品で俺とお前はモニター(使ってみて感想をいう人。)だから大事にな、他の人は持ってないんだから・・・。」
「だってよ、授業とかかったりーし。」
今は道徳の時間で地震について学んでいる。
「いつ地震がくるかわかんね〜んだぞ。」
「大丈夫、大丈夫。」
「ったく。あっそうだ!なぁ聖、今日どっかに行かね?学校終わんの早いからさ」
「いいけど、何処いく?」
「考えとくよ」
「え〜つまりこういったM8以上の地震が来たら海岸に近い区域に住んでいる我々のような者は地震が続いている最中でもとにかく丈夫そうで安全な3階以上の建物に逃げ込むようにしなければなりませっ…」
『緊急地震速報です。1分以内に震度7以上の地震が来る模様、落ち着いて安全な場所へ避難してください』
クラスが騒々しくなった。
「なっ、本当に来やがった。」
「みんな落ち着け、ここは2階で危険だ。取り敢えず焦らず3階へ」先生が必死に先導する
その時、轟音が鳴り響きそれと同時に学校が激しく揺らいだ。
直後、教室が真っ二つに割れた。
「みんな、早く教室から出ろ!!」
生徒全員が廊下へと向かう。
「よし、聖行こうぜ・・・え?」
夏希が見ると、一人の少女が黒板と反対の方に取り残されていた。
「くっ。」
夏希が動くより速く、その横を聖が駆け抜け、反対側に跳んだ。
「聖!!」
そして、また教室が激しく揺れた。
床が波を打つ。
「聖、早く戻れ!!」
しかし、夏希が叫ぶと同時に床が崩れ落ちた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫