《MUMEI》
司の意地
「珍しいな、司が忘れ物するなんてよ。」
「いや、俺絶対持って来たって!!」
「でも実際無いんだろ?」
「…あぁ。」
一応無い事を認めているが、やはり納得しない様子の司はその返事を最後に、口を聞かなくなった。
「幾ら考えてたって同じだろ?部屋入って写真あったら、もうそれでいいじゃん。ほら、部屋行くぞ。」
家に着いてもまだ黙ったままの司に、洋平は苛立ち始めており、ついキツイ口調で言ってしまった。
「ん…。」
その苛立ちが伝わったのか、司は申し訳なさそうに返事をして、洋平の後に続いた。
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