《MUMEI》
信じない心
「……」

集中をする。

赤い目になるために。

人を食らうものを殺すために。

「…ワタシハタダ、アイシテルヒトノトコロニイキタイダケナノ……」

まだ、人間の女の姿の人を食らうもの。

バーカ

“アイシテルヒト”?

バカじゃない?愛したってみんな死ぬ。

それに私は不死身だもん。

私は心を失っていた。

昔はあった強い心がなくなり、赤い目になったときそれには打ち勝てなくなったのだ。

「……アナタハイナイノ?」

ドクン!!

ドクン ドクン ドクン

私の鼓動は早くなる。

やめて!!やめて……私はただ――…

「死にたい!!」

私は元の自分に戻ってしまった。
私は――…

私は、私は!!

どうしたら、どうしたらいいの?

「…ダイジョウブ?」

ダメね…

こんなに心が弱ってるなんて、それに人を食らうものに心配されるなんて……

「ワタシハアナタヲタスケタイ――…」

あぁ……出会っちゃった。

優しい人を食らうものに、ずっと思ってた。

「あなたは優しい人を食らうものなの?」

ニコッ

人を食らうものは笑う。

「……ソウオモッテクレテタノ?」

「そうね……そう、思ったわ」

「…ジャー オトモダチネ?」

人を食らうものが手を出してくる。私は人を食らうものの手を握ろうとした。

グサッ

私は人を食らうものの手で刺されていた。その手は怪物の手だ。

ほらね?

やっぱり誰も信じたらいけないんだね。

「……」

みるみるうちに人を食らうものは人間の姿から怪物の姿に変わっていった。

「サヤモコレダケノモノダッタノネ?コンナヨワイヤツニワタシノ“アイシテルヒト”はコロサレタノ?」

「知らないわよ……でも私はこんなんじゃー 死ねない体だからね?」

私は人を食らうものの手を抜き取り、剣に手を流し、刺す!!

「…ウッ!?………」

「あんたってバカだよね?私が誰も信じるわけないじゃん。」

どんどん固まり始める。

「…バイバイ…」

私は人を食らうものを見下ろし、そう言った。

私は空を見た。今日は満月。それにたくさんの星。

私は心が弱くなってしまった。

私の取り柄は人を食らうものを倒すこと。

心が弱くなってしまっては力をいつも通りに発揮出来ない。



私はどうしたらいいのだろう――…



いつもそればかり思う。

考えても考えても答えは見つからない。

どうしたら答えを見つけれるのだろうか?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫