《MUMEI》
本当の真実
「……ここであんたを殺す」

やめて…

「私もだから」

もう遅いの?

ううん 遅いなんて思わない!!

そして小夜と未来が戦いを始めようとしたとき、私は登場した。

「…小夜!!未来!!あなたたちは殺しあったらダメよ!!!!生きなくてはいけないの!!憎しみや流れなんかに任せたらダメ!!」

私は叫んだ。ちゃんと二人にこの想いが届くように…

「…聖子……?生き返ったのね?」

「どーゆうことよ?聖子は小夜姉様に殺されたはず…文男!!どーゆうこと?答えなさい!!」

「…私はちゃんと死んだのを確認いたしました」

「…じゃーなんで生きてるの?」

「…それは――…」

「私が願ったの。最後の願いをね?」

「最後の願いは使い果たしたはずよ……なぜ?」

「…ハンデ…だよ♪文男を持ってるから私にハンデをくれたの…聖子…待っていたわ」

「…私が来たのは小夜に会うためじゃない。真実を伝えるためよ……今から言うことはすべて本当の真実だから。しっかり聞いててね?」

私は静かに真実を話し出す。

それは悲しい物語――…

「…小夜と未来の母親の名前は“マリア”ある力を持ってる人だったらしいわ。マリアはある時親友である神様にお願いをした。“不幸になりたい”と。そして神様はマリアに従い、実験中だったあなたたち二人の赤ちゃんをマリアの体内に入れた。そして二人を愛を込めて産んだの。産まれたと同時にマリアは死んだわ」

私の話を二人は真剣に聞いてくれてる。それだけ知りたかった過去なのだろう。

「…マリアは最後にこう言ったそうよ。“仲良く…ずっとずっと二人でいてね……幸せになって……”……あなたたちの親は二人の幸せを願ってるのよ?なのにどうして殺しあわなくちゃいけないの?二人が幸せになったらいけないの?」

私は叫びながら、泣きながら二人に想いをぶつけた。

「…小夜姉様…私…どーしたらいいの?」

未来は泣きはじめてしまった。それは透明できれいな涙だった。

「…仲直り……しよ?」

小夜――…

お姉さんだもんね?

「…う……うん……」

「そうはさせるか!!!!“νξοπζε”」

呪文?

まさか文男が未来を操っていた?

もしそうならば今までの未来は偽者?

「…あぁ!!…さや…ねえ……さ…ま……」

未来が頭を抱えている。とても辛そうだ。

「文男!!なんでそんなことをする!!」

「俺がしてることは正義なんだ。この世界は腐ってる。だから俺が世界を終わらせて新しい世界を作り直すんだ。そして王となる!!!!」

「腐ってる?腐ってるのはあんたの頭よ!!私の妹をいいように使って、どーゆう神経してんの?」

「…未来!!小夜を殺すんだ」

「……小夜…を殺す……」

ダメ…

未来はもう操り人形。どうにも出来ない。

ダッ

「……小夜!!未来と戦ってはダメ!!」

私はとっさにそんな言葉を言っていた。

「…私が未来を元通りにする!!未来と私は幸せになるの!!ちゃんと仲直りしなきゃならないの!!」

キンッ

ダメ……

未来は操り人形。あなたは文男と戦わなくてはならないのよ?未来とは戦ってダメ……

キンッ

競り合い、競り合い……

やっぱり二人は互角。私も手助けたい。けれどこの体では――…

“一応言っておくわ。あなたはもう人間になっているから。刺されれば死ぬわ”

神様が最後に言った言葉。

でも生き返っても私は何にも役に立たないのね?

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