《MUMEI》
目覚めの時と別れ
まだ私を起こさないで。まだ深い眠りについておきたいの…

「…み…く……未来!!」

私は起きたらいけない。暴れてしまう。

「…小夜よ!!未来!!お願い!!起きて!!!!」

小夜……?

どこかで聞いたことのある単語。どこだったかしら?あなたに会いたい感情に駆られる。

「……」

でも起きたいのに起きれない。何かが邪魔をしているみたい。

「…やっぱりダメなの?未来はもう目覚めてくれないの?」

目覚める?

私は目覚められないの……

誰か、この深い眠りの世界から脱出できる方法を教えて…

「…願って!!」

願う……?

バタンッ

「…小夜……姉様……」

「…未来…?もう操り人形になってない?未来?未来?」

「小夜姉様…?涙が出てるよ?私は操り人形になんかなんないよ?」

ガバッ

ギュ〜

私はいつの間にか小夜姉様に抱き締められていた。暖かい小夜姉様だった。

「……なぜ…未来は俺のものなのに…なぜ……」

文男は私たちをただ見ていた。驚きを隠せないようだ。

「…小夜!!お前を殺す!!」

文男は小夜の剣を持ち、こちらに向かってくる。

ギュッ

なぜ?私の裾を持つの?

グサッ

小夜姉様……なぜ?

「…小夜姉様……?私、死ぬんですか?」

文男は小夜に刺したのだがその刃が小夜を通り未来を突き刺したのだ。もちろん小夜を突き抜けたのならば小夜の血もその刃に付き、未来は小夜の血が体内に入ったことにより……死ぬのだ……

「……どーしてこんなことに……私…未来と幸せに……なりたかったのに……」

「…泣かないで…?全然、痛くないよ?私は死なないよ?ねぇ笑ってよ…私、全然、小夜姉様の……笑顔見てないの…ハァ………ハァ…」

カチカチ

「…固まっていく……私のせいで……」

ボロ…

未来の腕が折れた。ドンドン侵食されていっていく未来。でも未来は涙を流さない。

「…くっついて!!!!お願い……私には未来しかいないの……未来がいなくなったら私は…ひとりぼっちだよ……お願い独りにしないで……」

「…ありがとう……私のことそんなに愛してくれて……私は小夜姉様を……忘れない……私を愛してくれてありがとう…」

そう言い終わると、未来は固まってしまった。

未来は死んでしまった……

「…あああぁぁぁぁああ!!!!!!」

小夜は泣き続けた。


ずっとずっと……


泣き続けたって何も変わらないことはわかってる。

けど……私は泣かなきゃいけない。私がどれだけ未来を愛していたか教えるために……



私はひとりぼっちになってしまった――…

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