《MUMEI》

私の本体が焼かれ4ヶ月。彼の頭の中に私の存在はまだあるのだろうか。
小さなお店で働いている惣介。一緒に私も働いていた。死ぬまで。
「ワン!」
なんだ野良犬か…。犬には見えてるのか…。今、夜の22:55だった。もうそろそろ仕事が終わる。
「岩永!外の商品中にいれろ!閉店時間だ」
「はい」
外に出てきた。
「ワン!ワン!」
まだ吠えるか…。尻尾フリフリさせやがって…。惣介は野良犬がどこに、誰に吠えているかわからなかった。
「おいで」
しゃがんで呼ぶ惣介。
「ウーー…ワン!!」
「キャ!」
え………声が………
「早紀…?いるのか!?いるなら返事して!ってバカか…死んだのに……」
立ち上がり落ち込む惣介。
「早紀……?」
返事をされたので惣介を見る。明らかに目はこっちを向いている。
横も見ずに…………
一歩一歩ゆっくりこっちに歩いてくる惣介に車の影。
「惣介横!!」
しかし惣介が横をみたときはすでに遅かった。


一瞬状況が読めなかった。だって…惣介がひかれちゃったもん…私と同じように………

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫