《MUMEI》
アイリアス・??? ???にて
誘拐から2日目。

アイリアスはライターの位置を視線で探っていた。
上着の…胸の内ポケットにある!
アイリアスは発火目的で酸素を放出するのは初作業ではない。
だがベテランではない。

酸素の量の調節に手惑えば奴等に殺されるか、
自分も焼死だ。
だからこそ入念に酸素の放出量を計算する。

(計算完了…アイツが後ろを向いたら…)
今は仮面の男はいない。
監視役の黒服が部屋の入り口前をウロウロしている。
黒服が背を向けたそのときだった。
ドアが開き仮面の男が入ってくるのと、
アイリアスが左手を放出の為に構え、右手でライターを構えるのが重なった。
(!?)
驚いたが今更やめられない。
酸素を一気に放出、着火!!
するはずだった。
火がつかない。
ライターのオイルがないのだ。
だがこれはいつも職場での暖炉に使っている物。
切れていたら気づく。

「君が、酸素のELEMENTだという事は知っている。
屋敷を焼かれてはたまらないからライターは空にしておいた。」
仮面の男が言う。
やられた。作戦は失敗してしまった。
「私に命令が下った。内容は君の訓練だ。」仮面の男は言う。
彼女は言う。「はぁ?」

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