《MUMEI》
快楽との闘い
陽菜の顔を撫でると、陽菜は潤んだ瞳で僕を見つめた。
陽菜のことだから、また“許して下さい”だとか、“やめて”だとか…そういうことを言いたがってるんだろうけど、媚薬のせいで虚ろになったその表情は、物欲しそうな顔をしているように見えた。

「早く舐めて?」

僕が言うと陽菜は、舌を伸ばして裏筋にそっと舌を這わせた…かと思うと、急に切ない声をあげた。
どうしたのかと思って後ろを向くと、佐伯が陽菜の体内にバイブを刺し込んでいた。

「どうしたの?」

僕が気付いてないフリをして、陽菜に聞くと陽菜は黙ったまま、僕自身へと再び舌を伸ばした。




わかってるよね?陽菜…。
イッたらダメだよ。
感じたらダメ…。

ちゃんと我慢するんだよ?




僕の心の声が伝わっているのか、陽菜は声を押し殺しながら、僕を舐めた。

「咥えて…」

そう言いながら口内へ誘導すると陽菜がゆっくり僕を咥え、熱くなった唇と舌が僕を包んだ。
快感に耐えながら奉仕する陽菜の体は、ふるふる震えてその振動が舌にも伝わって、今まで感じたことのない快感が僕を包んだ。


けど、ここでイクわけにはいかない。
僕がイクまで、陽菜は蝋燭で責められるんだから。
ここで果ててしまったら、僕の愉しみが無くなる。


僕が押し寄せる快感と闘っていると、後ろでライターを点ける音がした。
心なしか、陽菜の体も固くなる。


そして、次の瞬間──…


「ん゙ーーーッッ!!!」

陽菜が僕を咥えたまま目を見開き、叫んだ。
僕は自分から離れてしまいそうな陽菜の頭を抑え、喉の奥へと自分自身を沈めていった。

「んぅ…っ、ん゙ッ…」

苦しそうに喘ぐ陽菜の口内は、どんどんキツくなって、更に快感が増した。
もう舐める余裕なんて無くした陽菜を、佐伯が笑った。

「早くイかせないと終わんねぇよ?」

佐伯の言葉を聞いた陽菜の舌が、僕を懸命に舐め回した。
今まで感じたことのない陽菜舌の動きが、僕を快楽へと導く。
苦しそうな表情と、漏れる悲鳴が視覚、聴覚を刺激して僕は、すぐに絶頂を向かえてしまいそうだった。





まだだ…。
まだイッちゃダメだ…。




どのくらい耐えただろう。
僕を見つめる陽菜の切ない瞳に、僕は限界を向かえていた。

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