《MUMEI》



「遅かったな」

「…、うん」

バッグをテーブルに置き、俺はシャツを脱ぎだす。


「キスさせてねーだろうな、おい」


兄貴はテレビのリモコンを弄りながら聞いてくる。


「あー、それなんだけど、兄貴の言った事当たってたよ」

「ええ?まさかおまえ喰われてきたのか?」

兄貴は驚いてリモコンを床に落とした。






「違うよ、俺が止まらなくなった、三村が欲しくてどうしようもなくなって、壊れるまで抱いた」



「………、マジかよ…あの三村が下なんて…」




既に三村と風呂に入っていた俺はスエットに着替え、脱いだものをまとめて部屋を出た。


キスしたら止まらなくなるのは本当だった。
…でもそれは恋をしているからだ。



本当は可愛いくて泣き虫な恋人ができた。

俺が逆に髪を染めたら三村はどんな反応を示すんだろうか?





End

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