《MUMEI》
彼女募集で
事の始まりは一ヶ月前…
「ケンちゃんって付き合ってる人いる?」
帰り道の途中で、いきなりユキが聞いてきた。
コイツとは家が近所で、ガキの頃からの付き合いだ。
ユキは俺より歳が2つ下の癖に、身長だけは俺なんかより遥かに高い。
…いや、まぁ俺が低すぎるんだけどね。
だから話しをする時は、首が痛いんだよ。こうやって…
「いないけど?」
見上げなきゃなんねぇからさ。
「じゃあ好きな子は?」
「ん〜特には…。」
「いないんだ?」
ユキがメッチャ嬉しそうな顔してそう言うもんだから、何か気に食わなくって
「悪いかよ。」
ムスッとした顔で言ってやった。
でもそれも効果なかったらしく、
「勿体ないねぇ、ケンちゃんはこんなにかっこいいのに!」
って茶化してきて、でも悪い気がしない俺は、ニヤリと笑って言ってやる。
「まぁよ。」
自分で言っちゃ何だけど、自他共に認める男前です。
正直モテる。
なのに!
何故彼女が出来ないんだろう…?
「身長ないからねぇ。」
「お前っ!!」
最後にはしっかりと毒のあるオチまでつける始末。
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