《MUMEI》
いやーん
学校の下駄箱をでると、サッカー部部員が一生懸命走っていた。
ふと後ろから声をかけられた。
「おーっす自宅警備員」
無言で立ち去ることにした。
「ちょちょちょ、人が話しかけているんだよ君」
「誰も話しかけてくれなんていっていない」
「悪かったって。んで、、帰んの?」
「これから図書館へ行って勉学に励もうと思う」
「はいはい、どーせまたいつもの場所行くんだろ?」
「かどうかは今からの気分しだいだ。しかし人というものはこれからしようかなと思っていたことを人に予測されるとなんだかそれをやったら負けた気分になるもので、それをやりたくなくなるものだと俺は思う」
「、、、ごめんなさい」
「うむ、わかればいいのだ。そろそろ練習もどらないと怒られるんじゃないか?」
「あ、そうだった。じゃまたなー」
そう言って爽やかな笑顔を残して彼は走り去っていった。
「爽やかに汗流しちゃってね」
最近の僕の幸せですか?このうだるように暑い炎天下の中ときおり吹き抜ける優しい風を全力で受けとめることです。
「ひゅ〜〜」
「あ〜〜……」
ちょっと色っぽい声がでてしまった。若干恥ずかしい。それにしてもタイミングよく吹いてくれる風だなあ。
「さてと、、うおーい!!」
なんとなくふりかえったら後ろにさきほどの彼女がいた。なんてタイミングの悪いやつだ。
、、、み、見られてた、かな?
「お、お前帰ったんじゃなかったのか!?」
未だに驚きと恥ずかしさで動揺が隠せない。
「あの、えっと、ちょっとトイレによってて、あの、し、失礼します」
彼女は小走りで走っていった。
髪の毛のせいもあり、うつむいていて表情がほとんど見えなかった。
「あれなら見えてなかっただろう、と思いたい」
それにしても、、まあいいか。
「ひゅ〜〜」
「あ〜〜……」
自転車置き場に向かった。

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