《MUMEI》
チャリーン
ポケットの中をゴソゴソと探り、俺は何を思いいたったのか自転車の鍵をちょっとカッコつけて取りだそうとして上に放った。
カッコよくキャッチ!!
「ちゃりん」
、、、失敗。

「漫画とかドラマとかでいろいろカッコいいことやってるけどさ、アレ実際何回も撮りなおしてるんだよ」
そんな簡単にカッコいいことがポンポンきまれば、、まあきまればどうということは別にないのだが。なんというか、自分を慰めたかったんです。みじめな自分から目をそらしたかったんです。どーもすいませんでした!

鍵を拾って自転車のロックを解除、、できない。
「ん〜!?何故鍵が入らないんだ?イライラする〜!なんかアタシイライラするよ〜!?」
ふと先を見たらとってもよく似た自転車がもう一台。
「ふっ、やれやれだぜ」
なんでこんな自転車置き場のワンシーンでここまで疲れなきゃならんのだ。
、、、まあ自業自得ですね。ごめんなさい。
「うしっ、帰ろ」
チャリーンとベルを鳴らしてみた。先程のワンシーンが頭の中にフラッシュバックしてきた。幸介はなんだか悲しい気持ちになった。
「、、、風が気持ちいいな…」
爽やかな風をきり、校門を出た。

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