《MUMEI》
家族
「ただいま〜」
「おかえりアニキ〜」
家に入ると妹がバタバタ走って迎えにきた。
妹の名前は千恵。ずいぶんと男まさりな感じに育ってしまったが、俺にとってはむしろこのくらいさばさばしてる方が逆にいいかもしれない。
「腹、減った、飯」
さばさばしすぎである。
「帰ってきてそうそうですか。お兄ちゃんもちょっとくらい休みたいよ?」
「う〜、じゃあちょっと我慢する」
「そう言ってもらえるとすぐつくる気になるな。よし、まってろ」
そう言ってやると妹は満面の笑みを浮かべながらルンルンでリビングへと消えていった。
ウチの両親は父、母そろって忙しく仕事人間なのだ。家を空けることはしょっちゅうのことで、だからこうして母がいないときには俺がだいたいの家事をこなしている。
しかし、けしてこの暮らしに不満は何一つ無い。親の愛情をすごく感じているからだ。母が早くに帰ってきたときは美味しい手料理をたくさん作ってくれる。父も休みがとれたら千恵や俺ともよく遊んでくれる。俺たちがもう少し幼かったときには家族が全員そろったからといって学校を、あくまで風邪という名目で、休んでみんなで旅行に行ったことも覚えてる。家族の愛情がこんなにも感じれることって、たぶんすごい幸せなことなんじゃないかと思う。
、、、
「お待たせしましたお客様、今日は幸介特製カレーライスになります」
「アニキ、ちゃんとツボおさえてるねえ」
何故そんなに上から目線?(笑)
談笑しながら美味しくカレーをいただきました。

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