《MUMEI》 起者「アイ!!!!!!!!」 衝撃波は張っていた結界を貫通し、アイズと式夜に襲い掛かったが、致命傷になりそうな傷は無かった。だが・・ごまの眼には二人は血まみれに見えたのだろう。 駆け寄ろうとしたのが最悪の判断、頭部に斧が叩き込まれ、崩れるようによろめく。 「ごまさん!!!!!!!!」 思わず悲鳴を上げるアイズ。 「ひゃっは!!安心しろや、お前もすぐ後を追わせてやるからよ!!!!!」 アイズたちへとごまの剣を投げつけるハルバー。 「く!!!」 即座に結界を展開、剣を止めようとするが・・ 普通の剣なら簡単に止められて、地面に転がっただろう。だが・・ごまの剣は結界突破用の魔力が宿っていた。 パリン!! 軽い音と共に砕け散る結界。速度をまるで落とさず・・ ギィィン!! 式夜が振るった一撃が剣を弾き飛ばす。 「式夜・・さん?」 立ち上がった式夜。至る所に傷があり、血がダラダラと流れている。夜色の外套は刀の形に戻り、式夜の手に携えられている。 「あ?お前いい加減死ねよ。ウザイんだよ。」 ハルバーが式夜を睨みながら斧を担ぎあげる。 「・・・何故・・」 呟く式夜の声は虚ろに響く。 ガシャリ・・ ごまが地面に倒れる音を合図としたかのように式夜が疾走、ハルバーに斬りかかる。 二人が交差するたびに血が飛び、火花が散る。 式夜は、連続で瞬動を行なう事で瞬動の弱点でもある直線的な動きを強引に歪め捉えにくくし、一撃離脱型の戦闘法。それに伴う脚部への負担など気にも留めず、刹那の交差で数回の斬撃を放ち、離脱、突撃を繰り返す。 いつしかハルバーはその場で突撃してくる式夜に攻撃を返す形になっているが、致命傷になりそうな斬撃を全て止めてるためそれほど深手は負っていない。 式夜の体から落ちる血は緩やかに、だが確実に少なくなっている。 対するハルバーの体には幾つかの傷が生まれ、血が流れている。 「おらぁああああ!!」 気合と共に振るわれた斧の一撃は式夜の正面、刀と斧が激しくぶつかり合う。双方の体からぶつかった衝撃で血が飛び地面を朱に染める。 ギギギッギギ・・ じりじりと押され、刃が式夜の体に近づいていく。 「力勝負になった時点で俺の勝ちだ。お前もコレで死んだってわけだ!!」 ズズズズ・・ 式夜の肩に斧がゆっくりと押し付けられ、傷ができる。そのまま大斧は止まらず式夜の体を抉って・・ ドドドド!! 横方向から飛んできたマジックショットがハルバーと式夜に直撃し、ハルバーが体勢を崩す。 ギィィン!! 斧を押しのけ、夕闇色の刀身をした刀が振るわれる。 「・・・無銘、連月。」 音も無く、ハルバーの持つ大斧が4つに分かれ、地面に転がる。 「黄昏の海に沈め・・」 振るわれた最後の一撃・・融けるようにハルバーが消滅し、静かにアイズへと向き直る式夜。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |