《MUMEI》

そんなことを思い返していると、一つ目の信号に差し掛かろうとしていた。

赤か。

いつもなら信号に引っかかるなんて滅多にないのに、今日は大当たりだ。

この調子じゃ、最後の信号も当たりを引くかもしれないな。などと悲観しながら信号が変わるのを待っていた。

青に変わった信号を確認する。

肩にかけていたバッグをかけ直し、足を踏み出した瞬間――


ギャキキィィィ――ッ!!


――鋭く尖《とが》った金属でガラスを思いっきり引っ掻《か》いたような、不快な音と共に、オレの眼前で何かが停止。

「……っ」

「あぁ、ごめんなさい。このブレーキ……調子悪いみたいね」
 

自転車に乗った女の子がそこにいた。

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