《MUMEI》
亜依
「亜依、ちょっと画用紙とってくれない?
 赤色の!」
「オッケー、赤ね!」

教卓の上に並べてある画用紙の中の
赤を探しす。
赤、赤、赤・・・。
教卓の上には、
黄、青、オレンジ、白、緑、
それとなぜか、黒の束が2つ、画用紙が並んでいる。
「え、舞、赤ないよ?」
「え、嘘!先生に頼んでみて??」

わかった、と返事しながら先生のところに駆け寄る。
「せんせぇ、赤色の画用紙がないんですけど。
 もらえますか?」
先生はちらっと教卓の上に視線を配る。
そして、不思議そうな顔をした。
「何言ってるの、あるじゃない?」
私はもう一度教卓に目を向けた。
でも、やっぱりない。

「・・・・・え、ないですよ?」

先生は怪訝そうな顔をして、
教卓から黒の画用紙をとってきた。
「これ、赤でしょう?!」
「・・・・・・・・え」



ある日を境に、
私の世界から"赤"が消えた。

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