《MUMEI》

ちなみに『局長』とはオレのあだ名で、あの有名な『新撰組』からきているらしい。

「ちょっとあってね……」

思わず苦笑いをする。

「どしたのどしたのー!? 局長、なんか元気ないじゃん。とにかく席に着こーよ」

促《うなが》されるまま自分の席に座る。充《みつる》は心配そうにこっちを見ながら、

「何かあったん? オレでよかったら相談乗るよ?」

別に隠す必要もないので、登校してくる時、自転車に轢《ひ》かれそうになったということを話して聞かせた。

充は、あ〜オレもあるある、怖いよなぁ、でも轢かれてないし、よかったじゃん、などと月並みに慰《なぐさ》めてくれる。どうもありがとう。

少し遅れて担任の先生がやってきた。ホームルームの時間だ。

担任が口を開く。職員会議が長引いてしまったことと、その内容は以下のとおりだ。


最近、全国的に交通事故を始めとする死亡者が続出しているという。

ここ嵩田《かさだ》高校や近隣《きんりん》の学校も、朝・夕の交通安全強化を図《はか》るため、教職員と生徒会役員のメンバーで交通指導を行なうことに決定した。


ということらしい。

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