《MUMEI》 母さん「ピピピピピピピピ」 「バシン!」 「、、、朝か」 目覚まし時計の音は何故こんなにも不快なんだろうか。それもそうか。もし目覚まし時計のアラーム音が心地よかったらいつまででも寝てしまうって話だ。 キッチンへ下りて朝食の支度を始めた。 「あら幸介、早いじゃない」 よく聞き慣れた、落ち着く声が後ろから聞こえた。 「母さん!?帰ってたの気づかなかった!」 「起こしちゃ悪いと思ってね♪三人分よろしくう」 「てか起きてるなら朝食作ってよ」 「私は可愛い愛娘を起こしてくるわっ」 そう言って母は上機嫌で二階へ上がっていった。 幸介はヤレヤレといった感じに冷蔵庫から卵とハム三つずつ取り出してハムエッグを作り始めたが、心は踊る様だった。 母が千恵の部屋に入ると、フトンをぶっ飛ばして、おへそがでてしまっているなんともだらしない姿がそこにはあった。 「すー、すー、すー、、、ふがっ!?」 いたずら心に母は千恵の鼻をつまんでいた。 千恵もその苦しさに気づき、目を覚ましたらしい。 「おはよう千恵〜」 にっこりと微笑む母。 「お母さーん!」 母に抱きつこうと飛び起きた千恵。 「バタンッ!」 母は千恵の、もはやタックルだろと思われる包容をヒラリとかわしていた。 「お兄ちゃんが今ご飯作ってくれてるから、下いこっか」 「はーいっ」 朝食は納豆とハムエッグ、味付けのりにご飯、麦茶といったごく一般的な朝食だ。 「よしっと」 朝食の支度を終えると、二階から千恵に後ろから抱きつかれたまま歩いてくる母の姿が。 「千恵じゃま〜」 母が歩くのに困っていると、千恵は鼻をピクピクさせた。どうやら朝食に気づいたらしい。誰よりも早くイスに座った。 「いただきます!」 そう言うと勢いよく納豆を混ぜ始めた。 「元気がいいわね〜」 そう言って母もイスに座る。幸介もそれに続いた。 納豆を混ぜながら幸介が尋ねる。 「朝ごはん食べたらまたすぐ仕事?」 「そうね、今回はちょっと家を空けることになりそうね。1週間くらいかしら」 「相変わらず大変だね」 父も今は単身赴任で家を空けている。帰ってくるのは不定期だ。 「しばらくの間、二人で頑張ってね」 「はい!」 千恵は元気よく返事をする。 「二人で、ね、、」 幸介は対照的に若干沈み気味だ。 「まあ、幸介がいるから問題無いわね。何かあれば連絡ちょうだい」 「わかった」 朝食を済ませると皆各々に支度を始めて玄関にそろった。 「じゃ、そゆことで、よろしくね〜」 「おう」 そう言って俺は千恵の手をとって二人でガッツポーズをきめた。 「いってらっしゃーい!」 千恵はニコニコ母さんを送り出したが内心ちょっと寂しいのだろう。俺の手を握る力がちょっと強かった。 「さて、俺らも学校行きますか」 「うん」 そう言って二人は家を後にした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |