《MUMEI》

    観客席



ワーワーッ!!!!!ワーワーッ!!!!!



「…こりゃ決まりかな。」



ワーワーッ!!!!!ワーワーッ!!!!!



大歓声の鳴り響く観客席の中に、


その雰囲気からすっかりと目を覚ましたヤマトと恭介。


その隣には美紀と理紗。


さらには海南クラブのメンバーたちの姿があった。



ワーワーッ!!!!!ワーワーッ!!!!!
















………………………………



最終日の観客動員数は2日までのそれを明らかに圧倒していた。


その半数以上の目的は間違いなく決勝。


現在行われている三決でさえその前哨戦のように見られていた。


彼らには既に全国大会行きの切符を受け取る為の権利がないことを考えれば、


その扱いもある程度仕方のないように思われた。


が、


そんなことは彼らは重々承知している。



………………………………














(それが……)



「はぁ……はぁ……」



「市原ッ!!!!!」



「ちっ…!!」



バスッ………



(それが……どうしたッ!!)














………………………………



それがどうした?


それが、
それが彼らの本音だ。


そう。
彼らは今更雑音など気にしない。


手に入るはずだった物に未練はないのか?


昨日の今日だもちろんある。


だが考えてみて欲しい。


この試合に意味がないからという理由で、


今繰り広げられている試合に手を抜けるのか?


答えはNoだ。


そもそも、
勝ちたいという気持ちに理由などいるのか?


いや、
そこに理由を求めたことはない。


それはもはや彼らにとって、


欲求の一種。


勝ちたいという気持ちに、
理由などいらなかった。



………………………………

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