《MUMEI》

………………………………



   県営武道館
    正面玄関



………………………………














「あぁぁっちぃ……」



Tシャツにジャージ。
同じような服装の人物がこの会場には大勢いる。


しかし、


彼らから伝わるその雰囲気は周りのそれとは大きく異なり、


一目で彼らが強者とわかるような、


そんな空気を纏っていた。



コソコソ…
「あれ…」



コソコソ…
「秀皇…だよね?」



秀皇大学。
大学ハンドボール界の頂点に君臨する彼らの姿がそこにあった。



「ちょっと皆ッ!!
どういうつもりなのッ!!?」



「あ、春奈さんおざ〜っす。」



「おざっすじゃないわよ!!


あんたたち気は確か!?
集合時間何時だと思ってんの!?


9時よ9時ッ!?
AM:9:00ですよッ!?


さぁッ!!
ところで今は何時なんですかッ!?」



「…何時?」



「11時っす。」



「…何か言うことはッ!?」



「すみません…正確には11時2分でした。」



「謝るポイントが違うッ!!」



「ごめんごめん。


久々に練習ないから昨日皆で飲み過ぎたわ。


コーチ怒ってた?」



「かなり!!ね。
何故か時間通りに来てたあたしと一部1年生がとばっちり受けました。」



「あ〜、そりゃ悪かった。
後でしっかり怒られとくから。」



「全く……で?
川上たちはどこいんの?」



「川上?まだ来てね〜の?」



「え?一緒じゃないの?」



「違うけど。」



「はぁ〜ッ!?」



「あ〜、泉さん。春奈さん。
たぶんあれっすね。」



「あれ?」

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