《MUMEI》

言われるがままに1年の指す方向を見る泉と春奈。



「あ・れ・は…」



「…あのさぁ、川上以外に来てない奴いるの?」



「…麻倉と三島くん。」



「やっぱりか…」



「ギャハハハハッ!!!!!」



全員が見つめるその方向には、


ほぼ満車状態の駐車場をノロノロと巡回する1台の車。



「おっせぇ……」



ケタケタと笑いながら車を眺める秀皇大学選手一同。



「あの遅さは鉄也以外ありえねぇ…」



そもそも車道ではないのだからスピードを出す必要は全くないのだが、


はっきり言ってその遅さは異常。


あまりにも遅すぎるその車は普通に歩行者に抜かれていた。



「全く……」



ようやく空車の駐車スペースを見つけたその車は、


やはりノロノロとそこに停車した。



「だぁぁぁッ!!!!!
もう二度とお前の車には乗らねぇッ!!!!」



バタンッ!!



怒鳴りながら車から男が1人。



「…」



無言で1人。



「ははは…すません…」



謝りながら1人が降りてきた。


川上・麻倉・三島の3人である。



「お前チーム最速の称号返上しろ…」



「関係ね〜じゃん運転は…」



「はぁぁぁ………」



深いため息を付きながら歩く3人。


次第に入り口に近づき、
泉や春奈の存在に気付く。



「おざっす泉さん。」



「ははは。見てたよ。おはよ〜。」



「え〜ッ!?


見てたんすかぁッ!?


ハズイんでやめてくださいよぉ…」



「川上ッ!!遅いよッ!!
コーチ怒ってるからねッ!!」



「俺のせいじゃね〜だろ。」



春奈を軽くあしらい会場内へ向かう川上。



「麻倉と三島くんもッ!!
今何時かわかってんでしょうねッ!?」



「いや…そもそも間に合うようには出て来たんすが…


途中で川上さんから迎え来いって言われて引き返して…


で、現在に至ります。」



「ま〜それで遅刻確定時間になったのは確かっすけど、


どっちにしてもここまで遅くなったのはこいつの運転のせいっす。


要するに、
ホントに無関係なのは俺だけ。」



「川上ッ!!やっぱあんたの」



「今試合は?」



春奈を無視し泉に尋ねる川上。



「さぁ?俺等も今は来たとこだから。」



「あ〜?」



「今は男子の三決。
もう終わるとこだけど。」

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