《MUMEI》
魔法
友美が天国に行ってしまってから、3週間ちょいがたった。
私にとって、友美がいない生活なんて今までなかった。
心にぽっかり穴があいた感じ…。

そんな時、励ましてくれたのは…佑伸くんだった。


「元気、出せよな。」
「うん。ありがとう。」
「…。悲しいのはわかるよ。だけど…。」
「だけど?」
「大野はそんな美香の顔見たら、たぶんよけい悲しむと思う…。」
「…。」
「そ、それに、お、俺だって、そんな美香の顔…見たくない…し。」
「佑伸くん…。」
「こんなこと、言わせんなよっ。」
「ありがとう」

佑伸くんの気持ちをきいて、鼻の奥がツンときた。
泣きそうになった。

友美…

ごめんね。
私、自分のことしか考えてなかったよ。
こんな顔の私なんて見たくないよね。

佑伸くんのおかげで気づけた。
佑伸くんのおかげで気持ちが軽くなった。

佑伸くんの言葉は、いつも私に安心感と勇気を与えてくれる。

魔法みたい。

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