《MUMEI》

まぁ、入っていたモノは仕方がない。深く考える必要もないと、弁当を一つ手に取り、机の上に出した。

三人で弁当をパクつきながら、たわいもない話から徐々に盛り上がる。

テレビゲームやマンガ・アニメの話から、最近ハマりだした小説(ラノベ)のこと、好きな音楽や映画だとか……。

まぁ、恋の話もしたいところではあるが、三人ともそういう話には、今のところ縁がない。

昼休みの時間も半《なか》ばに差し掛かろうとした時――

「おーい! この中に近藤敬太《こんどうけいた》くんて、いる?」

突然、三年生らしき人が教室に入ってきた。オレを捜《さが》しているようだが、なんだろう。

急に不安な気持ちになるが、名乗り出ないワケにもいかないので席を立ち、その人に近づいていく。オレ、なにかやらかした?

スリッパの色で学年を判別できる。今の一年は緑、三年は黄土色、ちなみに二年は青だ。

「あの、オレがそうですけど」

その人のスリッパをチラリと見た。黄土色・三年生だ。

先輩は安堵《あんど》したような表情を浮かべ、

「正門の所で、井下《いのした》って子がキミを待ってるよ。何か急用みたい」

「え? あぁ、はい。正門のとこですよね? ありがとうございます」

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